切ない春も、君となら。
その時。巾着の中の携帯が鳴ったのが聞こえたので、取り出す。

なーちゃんからの新着メッセージだった。


そこには、急に抜けてごめんという文章と、



なーちゃんと基紀が付き合うことになったっていう報告が書かれていた。




何、それ。



私、基紀から何も聞いてないよ。




「伊川さん?」

携帯を見つめたまま固まる私に、ほりぃが話し掛ける。


「いが……えっ⁉︎」

ぼろぼろと涙を零す私の前で、ほりぃが動揺してる。


「うえぇ〜〜ん!」

「伊川さん⁉︎」

周りの人達が皆こっちを見てる。だけど構わず泣き続ける私の手を、ほりぃが引く。

そのまま、メインステージから離れていく。
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