切ない春も、君となら。
こんなに好きになっちゃったのに。一方的に別れ話されても、苦しいだけで納得なんか出来ないよ。


彼のことを考えていたら、布団の中で涙が溢れる。
私はやっぱり弱い人間だ。


莉菜は怖いけど、言うことさえ聞いていれば大きな被害はないはずだ。


私を支えてくれる総介君は、もう側にはいてくれない。それどころか、もしかしたらもう会えないかもしれない。


莉菜に立ち向かっていくことなんて、私一人じゃ絶対に無理だ。
それなら、我慢して彼女に従った方がいいと思う。


それに……もう総介君と会えないかもしれないなら、誰と手を繋いだって、キスをしたって、その先のことをしたって……同じなんじゃないの。


莉菜の機嫌を取ることが、自分にとっての最優先事項に思えた。



『彼が欲しいのは〝金髪の派手な子〟みたいだからさ。今度の日曜日までに、髪を綺麗に染め直してきて?』


そう言われたんだっけ。待ち合わせ時間は午後六時だし、今からなら美容院予約取れるかな……。



「もしもし……」


私は美容院に予約の電話を入れた。
< 140 / 160 >

この作品をシェア

pagetop