切ない春も、君となら。
「あれだけ仲良かったのに。誰が助けなくても、私だけは助けるべきだった。
だけど、誰があんなことしたのか分からなかったから、凄く怖くて。春日ちゃんを助けたら、私もいじめられるんじゃないかって思っちゃって。最低だよね、本当ごめん……」


確かにあの時、私は朔ちゃんに助けてもらいたかった。声を掛けてもらいたかった。だけど朔ちゃんは無視した。

でも……怖かったという朔ちゃんの気持ちも分かる。
助けてもらいたかったなんて言いながら、もし、私があの時の朔ちゃんの立場だったら、私なら絶対に助けたって言えるだろうか。

だから、謝らなくていい。あの時どう思っていたかっていう話を朔ちゃんの口から聞けただけで充分だ。


でも、嬉しかった。



「あと、この間も声掛けてくれたのに知らないふりしてごめん。嫌だった訳じゃないの。ただ、春日ちゃんに対しての罪悪感が凄かったから、今更どんな顔して話せばいいのか分からなくて……」

「罪悪感だなんてそんな……」


朔ちゃん、あれ以来私のことをずっと気にしてくれていたのかな。自分のことを責めていたのかな?
だとしたら、私だって朔ちゃんに悪いことしてたな。


「でも、どうしてさっき、私の居場所が分かったの?」

偶然じゃないよね? と聞くと、朔ちゃんは「うん」と頷いた。


「実はね……星野さんから連絡もらったの。春日ちゃんが大変な目に遭いそうだ、って」

「星野さんって……」




泉?


泉が何で、そんなことを……。
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