切ない春も、君となら。
中二の夏、お父さんの仕事の転勤で私はこの町に引っ越してきた。
この時の私は、黒髪でスカートは膝丈、今みたいな派手な格好はしていなかったし、さっき近田君に言われた〝真面目で大人しい〟タイプの女子だった。
そんな私にも、転校先のクラスで仲の良い友達が出来た。同じ雰囲気の子達が集まったグループが声を掛けてくれた。
その中でも特に、朔(さく)ちゃんという女の子は、親友と呼べる存在……だったと思う。
好きなアイドルとか、使っている文房具とか、朔ちゃんとはとことんまで趣味が合った。
恋バナもしたし、休日に二人で買い物に行ったりもした。
朔ちゃんと過ごす時間は何よりも楽しかった。
だけどある日、それは起こった。