切ない春も、君となら。
朝のホームルームが始まる五分前に、重い足を引きずって教室へ戻ると、何故か私の机の上が綺麗になっていた。

どうして？

ぽかんとする私に「大丈夫？」と声を掛けてくれたのがーー莉菜だった。
莉菜が泉にも声を掛けて、二人で私の机を片付けてくれたらしい。


莉菜と泉は、クラスの中心人物だった。
華やかで、クラス行事なんかはこの二人が先頭に引っ張ってくれる様な、そんな存在だった。

二人共、当時から髪を明るく染めていて、スカート丈も短く、先輩からも先生からも目を付けられていた。
それでも、二人は自分達のスタイルを変えなかった。

二人のことを怖いと感じているクラスメイト達も多かったし、寧ろ殆どの人達が怖がっていたかもしれない。


だから、そんな二人が私の味方になってくれたお陰だろう、私はそれ以上の嫌がらせを受けることはなかった。
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