切ない春も、君となら。
莉菜と泉の、私に対する態度は徐々に変わっていった。

人数が多い方が割引が効くからという理由で無理矢理カラオケに連れて行かれたり。
休日に突然電話で〝なるべくダサい格好で駅まで来て〟と言われたので言葉通りにしたところ、人数合わせの合コンに参加させられたり。
財布を忘れたからと言ってファミレスでご飯を奢らされたり……。

勿論、さすがに言い返したこともあったけれど。


『じゃあ、明日からはもう友達じゃないね』


莉菜にそう言われた私の心臓は、一瞬にして凍り付いた様な気がした。

朔ちゃんが離れていった、あの瞬間をまた味わうなんて絶対に嫌だった。


だから私は、莉菜達から離れることが出来なかった。
< 21 / 160 >

この作品をシェア

pagetop