切ない春も、君となら。

莉菜と泉と離れたい一心で猛勉強し、私は無事、第一志望の東城高校に合格することが出来た。


これで二人と離れられる。


高校生になったら、まず髪を黒く戻したい。

スカートも短くなくていい。

自分らしくなりたい。

友達を作りたい。


そう思っていたけど。



中学校の卒業式で、私は莉菜と泉に校舎裏に呼び出された。

そして言われた。



逃げられると思うなよ



と。



莉菜達は気付いていたと思う。私が彼女達から離れたがっていることに。


その上で、彼女達は私を手放そうとしない。
これからも私のことを利用する為に。



教室で一人ぼっちになることが怖くて莉菜達に従ってた。

高校生になったら、そんな心配しなくていいと思ってた。


でも、違った。


莉菜と泉ーー特に莉菜を怒らせるとどんな目に遭うか分からない。

だから逃げるなんてこと、出来ない。



結局、私は〝元の自分〟に戻ることを許されなかった。

学校が離れても、家が離れる訳じゃない。

呼び出したらすぐ来い。
来なかったら許さない。
髪や服装も今のままでいろ。

そう命令されて、結局私は金髪のままで、高校でも浮いている。

東城高校は偏差値の高い進学校だから、私みたいな派手な生徒は、先輩にも殆どいない。
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