切ない春も、君となら。
「今日は委員会を決めるぞー」
一限目のホームルームの時間に、教壇から担任が元気良くそう言った。
うちのクラスの担任は、三十代前半の男性教師。
担当は現国。
明るいし、声も大きくてハッキリしていて話しやすそう……だけど、面倒臭がりな一面もありそうだ。
と言うのも。
「と言っても、まだ入学してから三日しか経っていないからな。誰が誰と何委員会に所属、なんて話し合っても、時間が掛かると思うんだ。
だから、先生が勝手に決めておいた! 今から一覧表を配るから、各自自分の委員を確認してくれ!」
途端に、クラス中から「えー」という非難の声が聞こえてくる。先生は一切気にしてなさそうで、アハハと笑っているけれど。
非難の声が上がるということは、皆、一緒に委員会をやりたかった人がいるとか、やりたかった委員会があったとか?
凄いな。私はクラス内に友達どころか会話をした人すらいないし、やりたいこともない。こうして勝手に決めてもらった方が有難いくらいだ。
すぐに、前の席の人から一覧表が配られてくる。
一枚取って、残りを後ろの席に回してから、その紙に視線を落とす。
上から順番に見ていくと、どうやら名簿番号順に決められているようだ。
ってことは、私はもしかして……。
やっぱり。一覧表の真ん中辺りに載っていた私の名前の隣には、〝近田 総介〟と書かれていた。
私と近田君は、同じ委員会のようだ。ちなみに体育委員会。