切ない春も、君となら。
だけど私は眠くならなくて。
携帯をいじって時間を潰していた。
「……寝ないの?」
不意に、隣からそう尋ねられる。
視線を向けると、近田君が目を擦りながら私を見ていた。
「あ、えとっ。近田君、起きてたの?」
「いや、寝てた。たまたま起きたら竹入が寝てなかったから声掛けた」
皆寝ているから、お互いに小声でひそひそと話す。
たわいもない会話だけど、こうして話していると、二人だけの内緒の話をしているみたいでドキドキする……なんて。
ううん、本当は気付いてる。
内緒話じゃなくたって。
私は、近田君とただ話してるだけでドキドキしてるってことに。
「眠くないの? ていうか何見てんの?」
私の手元の携帯を覗き込みながら近田君がそう聞いてくる。
「今日の写真?」
「あ、う、うん」
ドキドキと緊張しているのがバレない様に、何とか平静を保ちながら返事をする。
「体は疲れてるはずなのに、何か、色々嬉しくて気持ちが高揚してて、眠くはならなくて」
そう言って、私は改めて携帯の画面に視線を落とす。
私が見ているは、今日のハイキング中に撮った写真達。
と言っても、私が撮った写真ではなく、杏ちゃんがいつの間にか撮っていたという写真達を私のLINEに送ってもらったんだけど。
たくさんの写真の中には色んなショットがある。
景色や植物の写真、杏ちゃんや班の皆の何気ない写真。
カメラ目線の写真はあんまりなくて、自然な表情の写真が多い。
その中には、私の写真もたくさんあって。
いつの間にかこんなにたくさん撮ってくれてたんだぁって嬉しくなる。
けど、とあることにふと気付く。
「あれ……近田君の写真がない?」
どういうこと? 少ない、ならともかく、全然ないんだけど⁉︎
すると彼は。
「だってその写真撮ったの全部俺だし」
と、まさかの発言。
「ど、どういうこと?」
「伊川も変わった奴だからなー。これから山登るって時に、俺に携帯預けてきたんだよ。伊川の基紀のツーショット写真をメインに、色々写真撮っといて! って」
「え、ええ⁉︎」
携帯をいじって時間を潰していた。
「……寝ないの?」
不意に、隣からそう尋ねられる。
視線を向けると、近田君が目を擦りながら私を見ていた。
「あ、えとっ。近田君、起きてたの?」
「いや、寝てた。たまたま起きたら竹入が寝てなかったから声掛けた」
皆寝ているから、お互いに小声でひそひそと話す。
たわいもない会話だけど、こうして話していると、二人だけの内緒の話をしているみたいでドキドキする……なんて。
ううん、本当は気付いてる。
内緒話じゃなくたって。
私は、近田君とただ話してるだけでドキドキしてるってことに。
「眠くないの? ていうか何見てんの?」
私の手元の携帯を覗き込みながら近田君がそう聞いてくる。
「今日の写真?」
「あ、う、うん」
ドキドキと緊張しているのがバレない様に、何とか平静を保ちながら返事をする。
「体は疲れてるはずなのに、何か、色々嬉しくて気持ちが高揚してて、眠くはならなくて」
そう言って、私は改めて携帯の画面に視線を落とす。
私が見ているは、今日のハイキング中に撮った写真達。
と言っても、私が撮った写真ではなく、杏ちゃんがいつの間にか撮っていたという写真達を私のLINEに送ってもらったんだけど。
たくさんの写真の中には色んなショットがある。
景色や植物の写真、杏ちゃんや班の皆の何気ない写真。
カメラ目線の写真はあんまりなくて、自然な表情の写真が多い。
その中には、私の写真もたくさんあって。
いつの間にかこんなにたくさん撮ってくれてたんだぁって嬉しくなる。
けど、とあることにふと気付く。
「あれ……近田君の写真がない?」
どういうこと? 少ない、ならともかく、全然ないんだけど⁉︎
すると彼は。
「だってその写真撮ったの全部俺だし」
と、まさかの発言。
「ど、どういうこと?」
「伊川も変わった奴だからなー。これから山登るって時に、俺に携帯預けてきたんだよ。伊川の基紀のツーショット写真をメインに、色々写真撮っといて! って」
「え、ええ⁉︎」