切ない春も、君となら。
「昨日の夜、他校の人とカラオケボックスにいたのは事実です。
でも、私は何もしていません。話をしていただけです」


自分の意見をそのまま吐き出す様にして、校長にぶつけた。


信じたい。



皆が信じてくれた、私自身のことを。




信じてもらいたいなんて思うばかりで、私が私のことを一番信じてあげられなかったから。




すると担任が。




「……校長」


さっきまで黙り込んでいたのに、そこで口を開いた。



「竹入は、まあ確かに見た目は派手ですが、普段の素行は決して悪くないですよ。ここにいる四人と、楽しそうに仲良く過ごしています」


勝手に委員会を決めてしまったり、適当なところもある担任が、ここで私のことを庇う様なことを言ってくれるとはまさか思わなくて、思わず目を見開く。


「それに、怪我をしたっていう女子生徒って、第二区高校の生徒ですよね? 第二区高っていったら、それこそ素行の悪い不良生徒が多く通う学校じゃないですか。竹入を疑うのは、もう少し事実を確認してからでもいいのではないでしょうか」


担任がそう続けると、校長は明らかにイライラしながらも

「……もういい! 生徒は全員、出て行け!」

と私達に伝えた。
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