孤独な死神
龍は柊に目を向ける。ボロボロと涙を零す柊。よほど怖かったのだろう。
龍は溜め息をついて部屋を出た。
死音は最近柊がお気に入りだ。
死音はお気に入りにとても甘い。
だからつけあがって今回のような失言に繋がるのだ。


裏世界No.1の実力者である死音には誰も刃向かえない。
死音に目を付けられたら最後。
死音は無邪気で残酷に笑ってそいつを壊す。

そんな奴なのだ。

彼は皆から等しく畏れられている。そんな彼のコードネームは死音だが、皆彼を畏怖の感情を込めてこうよぶ。死神と。


無邪気に笑って平気で人を傷つけ平気で人格を壊す。それが死音だ。

龍も何度か死音に壊された。

だから死音のお気に入りには何もしない。
何かをして死音に目を付けられると厄介だから。

触らぬ神に何とやら、というやつだ。

「ご愁傷様」

龍は小さな声で呟いた。





「龍君、ね」

死音は柊の居る部屋の角でボソッと呟いた。

死音は妖美に怪しく残酷に美しく微笑んだ。


柊君に飽きたらまた龍君で遊んであげよう。
嬉しいよね。だって僕のお気に入りだもん。嬉しいに決まってるよね?

にっこりと笑みを深めてフードを深く被った。
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