ラブソング -詩-
「そう言えば最近、恵子さん見ないね。別れたの?」

「…別れてねぇ」

「ふ~ん。恵子さんが物分かりが良いだけか」

「え?」


声がかすれる。
焦ったというより、マサフミに見透かされた気がした。


「そうでしょ?まっちゃんのわがままをただジッと絶えて、まっちゃんが自分を見てくれるのを待ってる」


こいつの歌が売れるのは、ちゃんと気持ちが伝わるから。

こんな真正面で言われると、逆に俺が何も言えなくなる。


「…うるせぇよ。知った風な口聞くな。こっちにはこっちの事情があんの」

「それは言い訳でしょ?」


やけに突掛かってくるマサフミ。
まぁ、恵子が可哀相で言ってるんだと思う。


「良いんだよ。待ってくれてるんだから待たせれば」

「それで恵子さんが離れて行ったら後悔するのはまっちゃんだけだよ」

「俺、なんかお前の中で可哀相な奴になってね?」

「なってる」


笑いながら言うマサフミが憎たらしい。
だけど、まぁ言ってることは正しい。

最近会ってない恵子は元気だろうかとふと思った。
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