またこの場所で…
Place.1
生徒手帳と幼なじみ《side美織》
「美織、お婆ちゃんのお見舞いよろしくね」
そうお母さんから言われ、お花を持って今、病院へ来ている。
住み慣れたこの場所では、とても大きな総合病院だ。
ついこの前高校2年生に進学した私、篠宮美織(しのみや みおり)は小さい頃からお婆ちゃんっ子で、忙しく働いているお母さんによくお婆ちゃんのお見舞いを頼まれていた。
「お婆ちゃん、体の調子どう?」
「あぁ、美織ちゃんかい。いつもいつもありがとうね」
ベッドの背を起こして、私の方を見て微笑むお婆ちゃん。
ニコリと微笑んでクシャッとなる、そのお婆ちゃんの笑顔が私は大好きだ。
「ううん。元気そうでよかったよ。
お花新しい方に交換しておくね」
お見舞いの度に持ってきているお花。
退屈な入院生活の中で、少しでもこのお花を見て、気分転換出来ていたらいいな……なんて。
水を新しく入れて、買ってきたばかりのお花を花瓶に飾る。
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