またこの場所で…
「で?今回は何を描いてたわけ?」
「大したものは何も?」
絵を描くのはこいつの趣味だ。
あまり物事に深く興味を示さない龍が、自分から好きだと言う唯一のもの。
眼鏡がなくて勉強ができないという理由で勉強そっちのけで絵を描いていたんだろう。
「テスト大丈夫なわけ?
今回、範囲広いんだぞ」
「裕にノート見せてもらえば平気」
「おい……」
淡々と言いながら歩いていく龍。
相変わらずマイペースだな、こいつ。
ま。
なんだかんだ言いながら、ノートを貸してしまうし龍の描く絵を見るのも好きなんだけどな。
……なんて。
こいつに言うと、引かれることは目に見えているから胸の内に閉まっておいた。