またこの場所で…
「楓月裕(ふうづき ゆう)くん。えっと……こっちは私の友達の春飛一葉ちゃん」
「一葉ちゃんって言うんだね。俺の名前は楓月……って今、美織が言ってたよね。よろしく、一葉ちゃん」
「春飛一葉です、よろしくお願いします」
私の隣で一葉ちゃんは、ぺこりと頭を下げた。
「そんなかたくならないで?」
裕くんはそうやって、優しく笑った。
その私の大好きな笑顔は、昔のままだ。
「ちょっと美織どういうこと!?美織にこんなイケメンの幼なじみがいたこと聞いてないんだけど!」
驚いた様子の一葉ちゃんは、こそっと耳打ちしてきた。
だって、誰にも言ってなかったもの。
何も言わずに居なくなってしまった初恋の人。
届かない恋なんて、早く忘れなきゃ……そう思っていたから。
「ごめんね、一葉ちゃん」
本当のことなんて言えなくて……
いろんな意味を込めて、謝った。