またこの場所で…
スケッチブックにペンを走らせる。
しばらくして、彼女が起きた気配がする。
「あ、起きた?」
「わっ……!」
もう少しで完成する絵を描く手を止めることなく、声を掛ける。
俺が絵を描いているのが不思議なのか、話しかけてくる一葉ちゃん。
「妃波くん、絵描くんだね」
「うん。それくらいしかすることなかったからね」
「え…?」
思わず出てしまった言葉にしまったとおもう。
確かに、絵を描くことしかすることがなかったのは事実。
……だけど、踏み込まれたくなくて絵に集中する。