またこの場所で…
「それより、美織も同じ高校だったなんて驚いたな。
特進で見たことないから……普通科?」
「う、うん。そうだよ」
なんで。
なんで裕くんはそんなに普通なの?
何とも、思っていないの?
心がモヤモヤして、うまく言葉が出てこない。
なんで、どうして。
そんな気持ちばかりが胸の中で渦巻いている。
「そっか、通りで会わないわけだ。
それで?何か特進クラスに用事?」
普通科と特進クラスじゃほとんど接点がないから、なんでここに私たちがいるのか。
それを疑問に思ったんだと思う。
「えっと……これ、落し物」
今裕くんの前で、これ以上話し続ける自信がなくて、持っていた生徒手帳をすっと差し出した。