またこの場所で…
「生徒手帳?……これ、龍のじゃん」
私から生徒手帳を受け取った裕くんは、中を開いてそう呟いた。
「楓月くんの知り合い?」
私が口を開かない代わりに、一葉ちゃんがそう訊ねる。
「あぁ。俺の友達だよ」
「じゃ、じゃあ……渡しといてっ」
「今日学校休んでるし、渡しとくよ。なぁ、美織。これ、どこで拾ったんだ?」
「病院、だけど」
私がそう答えた時、なんとなくだけど裕くんの表情が歪んだ気がした。
ほんの一瞬、だけだけど。
「わかった。わざわざありがとな」
「……うん」