またこの場所で…



次の日。



「龍」

「んー?」



こてんと首を傾げる龍。



相変わらずあざとい奴だな……と思いながら、昨日預かった生徒手帳を渡す。



「あ、どこにあったの?」



教室だからか柔らかい話し方の龍だが、腹の中は真っ黒だ。



よくもまあ、ここまでキャラを変えれるもんだ。



「病院に落ちてたらしい」

「らしい?」

「普通科の篠宮美織って子が拾ってくれたんだってさ」

「……あー、昨日ぶつかった子か」



どこか納得したように呟く龍には、生徒手帳を拾った人物にどうやら心当たりがあるらしい。



「礼を言いに行っておけよ」

「……ん」



少し不服そうだが頷いた龍はそのまま席を立った。



どうやらこのまま普通科に向かうらしい。



教室を出ていった龍を見てため息をつく。



「授業サボる気かよ」



現在の時刻は4限目開始3分前だった。


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