またこの場所で…
ここで美織と言われてふと思い出すのは美織と楓月くんのこと。
二人は幼なじみでこの前何年か振りに再会した…っぽい。
あれから美織は何も言わなかったから、ほんとのことは分からなかった。
まぁ、あらかた頭の中がパンクして私の言葉なんか耳に入ってなかったんだと思う。
でもあの時、確信はないけど分かってしまった。
美織はきっと楓月くんのことが好きだって。
「…でも何だか訳ありな感じなんだよねー……」
「え?何が何が?」
心の中で呟くはずが声に出てて、それを地獄耳の二花は見事に食いついてきた。
「んー?美織が幼なじみと気まずい感じで、どうしたらいいかなって思って」
私はこういうのには疎いし、私自身まだ好きとか恋とか分からない。
実際、二花の相談に乗ることはあるけど聞くことくらいしかできないし。
「じゃあ、その人も今度の大会に呼んじゃいなよ!
そこでお姉ちゃんの応援一緒にして、距離縮めさせればどう!?」
「…!そっか!その手があったか!さすが二花!」
二人の間にある壁がどんなのかは分からないけど、とりあえず私は二人の間にある壁を柔らかく砕きやすくすればいいんだ。
その壁を砕くのは二人の役割だもんね。