またこの場所で…
エレベーターで1階まで降りて、いつものように帰る、はずだった。
「あっ……」
「……、」
下を向いて歩いていた私は、前から来ていた人に全く気がつかなくて……
気づいたのは、ぶつかってしまったあと。
「ご、ごめんなさいっ」
私の不注意のせいだ。
「……」
私より遥かに背が高いその人は、何も言わず、そして目を合わせることもなく行ってしまった。
あの人も誰かのお見舞いか何かかな……?
……そんなことより、何となく見覚えのある制服だった気がするんだけど。
「あれ、これって……」
ふと下を見ると、私の足元に落ちていた一つの手帳。
これは私が持っているのと同じもの。
「生徒手帳、だよね?」
見てもいいのか、ダメなのか……
そんな葛藤をしながらも、落とし主に届けなきゃいけないからと、申し訳ないと思いつつそっと開いた。