またこの場所で…



いいことを言った二花を褒めるように頭を思いっきり撫でる。



「おーい!春飛姉妹!イチャついてるとリレーに参加させてやんねーぞ!」

「え!ちょっと待って!終わったからこれで行く!」



スクールメイトに呼ばれてずっと二花と柔軟体操をしていたことを思い出す。



慌てて立ち上がるとガラス張りの壁からスイミングスクールの横を通る見知った制服が視界に入った。



ミルクティー色の髪は風に靡いて揺れている。



あれって……



「……妃波…くん?」



あんな髪色の生徒は彼くらい。



このスイミングスクールは2階にあって、1階はトレーニングジムになってる。



だから妃波くんは私がこっちを見てることに気付いていない様子。



私の小声にまたもや食いついてきたのは地獄耳の妹。



「え!何!?お姉ちゃんの彼氏!?」

「はぁ!?違うってば……っ!」

「え!?一葉の彼氏!?どこどこ!?」

「私も見たい!あの人!?後ろ姿絶対かっこいいじゃん!」

「だから違うってば……!」



室内に響くような声で否定してもスクールメイトはどんどんガラス張りの壁に集まってくる。



ヒトの色恋沙汰が大好物のコーチまで来るし。


< 30 / 131 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop