またこの場所で…



「……んー、僕は予定がまだ分からないから行けるかわかんないけど……裕は暇でしょ?
行ってきなよ、“美織ちゃん”と」

「はぁ!?お前何言って……!」



妃波くんは美織の名前を強調しながら、楓月くんをからかう様に言った。



楓月くん、妃波くんが美織の名前を出したら慌て出したけど……もしかして……



私よりも少し先を歩く妃波くんの背中を見ていたら、昨日の妃波くんの姿を思い出した。



そういえば……



「そういえば妃波くん、昨日この近くにある総合病院とか行った?」



質問した瞬間に妃波くんは歩くのを止めた。



思わず妃波くんの背中にぶつかりそうになったけど、なんとかブレーキをして止まる。



「…なんでそんなこと聞くの?」

「あ、いや昨日スイミングスクールから妃波くんが病院に向かっていくのを見たから。
あっちの方って住宅街とか廃れたバーとか総合病院しかないからそうかなーって!
美織みたいに誰かのお見舞い?」

「……」



しばらく妃波くんは何も言わなかった。


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