またこの場所で…
変わらないキミ《side美織》
……とっても落ち着かない。
それもそうだ。
今日は私の大好きな親友、一葉ちゃんの大事な水泳大会。
私は毎年一葉ちゃんに誘われて応援に来ているけど、素人の私が見ても綺麗なフォームで圧倒的な速さで泳ぐ一葉ちゃんには、目を惹かれてしまうほどすごいと思う。
でも、私がそわそわしている理由は、これだけではない。
それは、数日前の出来事。
***
「美織、来週の水泳大会、もちろん応援に来てくれるでしょ?」
ニコニコと迫ってくる一葉ちゃんに、もちろんオッケーを返す。
「行くよ!一葉ちゃんの大舞台だもん!」
「ありがとう美織、大好き!」
一葉ちゃんにギュッと抱きしめられ、苦しいなんて言い合いながら、笑いあった。
「そうそう、さっき楓月くんと妃波くんに会ったんだけど……」
「……え?裕くん、と妃波くんに?」
突然二人の名前が一葉ちゃんの口から飛び出てきて、ハッとする。
心の中の動揺がバレていないかとヒヤヒヤしながら一葉ちゃんの方を見たけれど、一葉ちゃんはまた別なことを考えているようだった。