またこの場所で…
裕くんが好きで、好きで……たまらなかった気持ちも。
「ねぇ、裕くん……あの」
「あ、あれ一葉ちゃんじゃない?」
あの日、どうして……
ふと、ずっと心の中にしまい込んでいた疑問をこぼしそうになってしまった時。
気づかれたのか、気にしていないのかわからないけど、遮るように裕くんが一葉ちゃんの名前を呼んだ。
「本当だ!」
裕くんが指を指す方を見てみると、水の抵抗を最小限に抑えるよう作られた水泳用の水着を着た一葉ちゃんがスタートラインに向かっていた。
いよいよ、一葉ちゃんの大会が始まるんだ。
「一葉ちゃーん!頑張れー!」
人目をはばからず、立ち上がって大声で叫ぶ私。
その声に気づいた一葉ちゃんは、いつものように私をすぐ見つけて、頑張るよというメッセージを送るように親指を立てて見せた。
「お前、そういうところ変わってないよな」
「そういう裕くんだって……目を細めて笑うところ変わってないよ」
「おー、そうか?」