またこの場所で…
「い、1位!今、1位だよ!そのまま行けーっ!!」
「み、美織!?」
「あっ、ご、ごめん……」
一気に追い抜いたことが自分のことのように嬉しくて、無意識に裕くんの手を握りしめていた。
裕くんに名前を呼ばれて、今自分がしてしまった行動に気づく。
「別に、嬉しかったけど……」
「え、今なんて?」
「なんでもないよ」
裕くんがなんて言ったのかは、まわりの歓声で何も聞こえなかった。
……歓声?
「あぁっ!一葉ちゃんがゴールする所見逃したっ!!」
私とした事が……
何たる失態。
親友の一葉ちゃんのゴールシーンを見逃すだなんて。
「うぅ……」
「まぁ、誰かさんが俺の手を握ってあたふたしてたからな」
「なっ」