またこの場所で…
冷めない熱《side一葉》
目的地に向かう途中でふと空を見上げると、今日は雲一つない快晴。
「…よし」
その空を見て自然と私の気合が入る。
今日は地元で行われてる水泳大会。
そんなに大きな大会じゃないけど、自分の今までの努力の成果を知るにはもってこいの大会。
今日は美織も楓月くん、妃波くんも観に来てくれる。
ここは自己ベスト更新して、いいところを見せないと…!
でもまずは二花が出場するダイビングから始まる。
先に会場入りしていた二花を見つけた。
「二花!」
「…っ!お姉ちゃん遅いよ…っ!」
「ごめんごめん!」
声をかけると二花は泣きそうな表情で私のもとへ駆け寄ってきた。
そして当たり前のように私の両手を握った。
「練習は終わったの?」
「…うん。あともう少しで呼ばれる」
「そう…」
私の手を握る二花の手は小刻みに震えている。
私は二花の両手を包み込むようにして両手で握って、自分の胸元へと持っていく。