またこの場所で…
「それより、どうしてここにいるの?」
「それはこっちのセリフだよ?
一葉ちゃん、そろそろ時間でしょう?」
「そ、そうなんだけど…」
もうすぐ時間だと言われるとさらに緊張が増大していく。
心拍数もどんどん上がっていく。
緊張していることをバレたくなくて妃波くんの顔が見れなくて視線を外した。
でも…
「ひょっとして、緊張してる?」
妃波くんにはあっさりと気づかれてしまった。
バレてしまってはそんなことないよとは言えずに小さく頷いた。
「いつも直前になると緊張しちゃって…
周りの人強い人ばっかだし…
勝てるかなって不安になっちゃってさ」
強い人に囲まれて、私は自分に勝たなきゃいけない。
周りの人よりも速く泳がないといけないんだ。
だから勝たないと…
「勝つことってそんなに大事?」
「え?」
また自分に暗示をかけていたせいで、妃波くんの言葉がすぐに理解ができなかった。