またこの場所で…



それこそ妃波くんが言ったみたいに損をしてしまう。



そう思えばいつの間にか増大していた緊張が和らいできた。



「そうだよね!楽しめばいいんだよね!」

「うん。
一葉ちゃんは笑っている方が可愛いよ」

「か……可愛いって」

「あははっ、顔真っ赤ー」



それは妃波くんがいきなりそういうこと言うからでしょ!?



どうすればいいか分からなくて熱をもった頬を冷まそうと頬を両手で挟む。



「あ、いた!一葉!もうじき出番だよー!」

「今行く…!」



頬を冷ましていたらチームメイトに呼ばれた。



緊張していると時間が経つのが遅く感じていたのに、妃波くんと話していたら時間はあっという間に過ぎていた。



それに不思議。



妃波くんと話していたら安心している自分がいる。



なんでだろう。



「ちゃんと観てるからね」

「うん!頑張ってくる!
ありがと!」

「行ってらっしゃい」



妃波くんに送り出されて私は会場に入った。



もうそこに今までの緊張していた私はいなかった。


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