またこの場所で…
だが、しかし。
そうこうしているうちに、4人席は埋まってしまっていて、2人ずつの席しか空いていない。
「じゃあ2人ずつ分かれてやろうか」
席がないから仕方ないと、私たちも裕くんの提案に賛成した。
「じゃ、じゃあ私は楓月くんに教えてもらうね!?いいよね!?楓月くん!」
「俺は別にいいけど……」
「え、ちょっと一葉ちゃん!?」
二人組みになると決まった途端、突然腕を引かれて驚いている裕くんを連れて奥の席に行ってしまった。
でも、裕くんのふたりきりになるのは、なんとなく気まずさを感じていた私は、心の中でホッとしていた。
取り残された私たちは、空いていたもう一方の席に座って、教科書を広げた。
「あの妃波くん、よろしくお願いしますっ!」
「うん、よろしくね。それで、どこが分からないの?」
「えっと、ここの問題なんだけど……」
「これ、基礎中の基礎だよ?美織ちゃん、大丈夫?」
うぅ……
妃波くんに言われると、本当に危険な気がしてきた。
頭のいい妃波くんだから、説得力がある。