またこの場所で…
妃波くんとこの前の水泳大会があってからまともに顔が見れずにいる。
妃波くんはいつも通りな感じだから、私も頑張っていつも通りな風を装ってるけど……
二人で並んで勉強を教えてもらうなんて、平然でいられるわけない!
緊張しすぎて勉強どころじゃなくなるよ、絶対。
「…一葉ちゃん?手止まってるけど…もしかして終わった?」
「へ!?あ、うん!終わったよ!」
楓月くんがせっかく教えてくれてるのに考え事してました、なんて言えない。
問題解き終わっててよかった。
私のノートを見て楓月くんは赤ペンで採点してくれてる。
「…うん、いいね。全部できてる。
一葉ちゃんは飲み込みが早くて助かるよ」
「楓月くんの教え方が上手いからだよ!
ほんとありがとね!」
楓月くんの教え方はすごく分かりやすくて、数学の公式が古代文字みたいな呪文じゃなくてちゃんと公式に見えてくる。