またこの場所で…
一気に体が熱くなる。
「す、好きなんてそんな…わっ!」
「一葉ちゃん危ない…!」
そんなわけないと否定するように体を後ろに引くと椅子がカーペットに引っ掛かって倒れそうになる。
そこを楓月くんがとっさに私の手を掴んで引き戻してくれた。
「…大丈夫?」
「あ、ありがと…」
楓月くんが掴んでくれなかったら今頃椅子ごと床に倒れて注目を浴びるところだった。
「落ち着いたところで本題に戻るけど…実際はどうなの?」
「…どうなのと言われても…」
妃波くんのことをどう思っているかなんて考えたこともないし。
ただの美織の幼なじみの友達としか思ったことない。
それなのに好きかなんて考えられないよ。