十二月の初恋戦争

山のふもとに一本だけ、白い布の巻かれた細い木があった。



僕はそれを合図にして山の中へと入っていく。



山の木々はほとんどが葉を散らしたあとで、どれも焦げ茶色の太い幹がむき出しになっている。



辺り一面はすっかり落ち葉で溢れかえり、歩を進めるたび足元で、バリバリ、ザクザク、という軽快な音がした。



ほどなくして、苔と落ち葉にまみれた石段が見えた。



僕はその石段を踏みしめた。


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