秘密ゲーム
「え………?あっ……

きょっ……今日はありがとうございました!

それではさよなら!」

私は頭がまとまらないまま逃げるように家へ入った。

本当にあの坂口 渚なら、

学校で会うかもしれない?

それに、今は七海のクラスの手伝いをしてるから、

もっと会う確率が高くなる。

もっと言えば、

家が近いから、

登校か下校の時に会うかもしれない。

そこでもし「珀!」とか言われて……

みんなからの視線は私に向けられ、

「何?あの子って坂口くんと仲いいの?

あの子も変な子なんじゃない?」

「近づいたら私まで巻き込まれちゃうよね」

とか言われながらみんなが離れていくのでは……?

いろんな考えが頭を過ぎる。

それに、学校で「珀」なんて呼ばれたら、

私にとっては公開処刑に近いくらいの行為。

みんなには、ネットでゲームをしている事を言っていない。

みんなの前では、ネットなんてLINEをする程度でしか使ったことない設定でいる。

あまりみんなに言いたくなかった。

言った瞬間に、みんなから引かれることが目に見えているからだ。

だから、言わない。

だから、バレたくない。

坂口 渚とは関わらないようにしよう。

それに、まだ坂口 渚が、

私の知っている坂口 渚とは限らない。

たまたま顔が似ていて、

家が近くて、

名前が一緒、

っていう可能性もあるから!

大丈夫。大丈夫。

そう自分に言い聞かせていた。
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