秘密ゲーム
私は、家を出ると

家の前に稀綸がいた。

「おはよう!珀!

やっぱり同じ学校だったね!」

私はあまりにも予想していなかった事態に

焦りと不安が込み上げてきた。

「なんで……?」

「いや。同じ学校なら一緒に行こうかなーって思って」

「そうじゃなくて!なんで同じ学校って知ってるの?!」

「だって、七海の友達でしょ?

クラスの手伝いに来てる親切なお友達。」

稀綸………坂口はニタニタと笑っている。

バレていた。

いつからバレていたのかは知らないが、

本当に不安だ。

私は、坂口に近づいて言った。

「稀綸がこんなに近くにいるなんて思わなかっ……」

「お前バカか!

こんな所で『稀綸』って呼ぶなよ!!」

と言いながら、口を手で塞がれた。

まさか………みんなに…………

「秘密にしてるの?ネットのこと。」

私は勇気を振り絞って聞いてみた。

「そうだよ……

あんまりみんなに言うと引かれそうだからな………」

「へー…………私と一緒だね。」

「お前もかよ。

じゃあ、秘密共有だな。」

秘密…………共有…………

その言葉に少し安心感を持った。

こんな秘密を人に言ったことがなかったからだ。

友達にも、親にも。

初めて私の秘密を知った人。

それが坂口 渚って言うのは嫌だけどね……

「なら稀………坂口くんのことはなんて呼べばいいの?」

「渚でいいよ。稀綸だけは絶対言うなよ?」

「じゃあ渚ね。私のことも夏でいいよ。珀って呼ばないでね!」

「分かった。約束な。誰にも言うんじゃねーよ?」

そう笑いながら頭をクシャッと撫でられた。

「髪の毛クシャクシャになるからやめて!」

「ごめん!は………夏。」

「あっ。今『珀』って言いかけたな?」

「ごめんって!まだ慣れてないから!」

「気をつけてね。じゃあ渚……途中まで一緒に行く?」

「行こう!夏!」

2人の言い方には少しぎこちなさを感じた。

私達は学校の近くまで一緒に歩いて、学校へ行った。

ほとんどゲームの話で、

他にどんなゲームをやっているのか、

何故あのゲームを始めたのかなど、

話していて本当に心の底から楽しかった。

しかし、

多くの生徒が見えてくると、

口数も減り、

自然と2人の距離は遠くなり、

いつの間にかバラバラに歩いていた。
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