秘密ゲーム
「びっくりした〜…………」

私は、少し走って離れた後

ゆっくりと歩いて教室へ向かった。

渚があんなにいい奴だったとは思わなかった。

幸い、周りに誰もいなかったから見られてなくてよかったけど………

もしも、2人で一緒にいるところを見られたら……

そう考えるだけで嫌気がさす。

渚は私のことどう思ってるんだろう。

ただの相談相手?

ゲーム仲間?

それとも、珀として?

もう頭の中がゴチャゴチャで、

何が何だか分からない。

いろんなことを考えているうちに、

教室についた。

教室からは楽しそうな声や、

いろんな人の指示する声が聞こえる。

ちゃんと作業やってるんだな。

「ごめん!遅れちゃった!」

と言いながら入っていくと、

クラスのみんなが私を見て、静まり返った。

「ど……どうしたの?」

みんなに聞くと、

七海が少し躊躇ってから言った。

「坂口と夏ってさ………付き合ってるの…?」

「え?付き合ってないよ?なんで?」

「だって、坂口が私に『夏どこにいるか教えろ』って言ってきたから……

もしかしてって思って………」

なんだ。そういう事か。

私がアイツとなんか付き合うわけない。

でも、なんて言えばいいんだろうか。

「付き合ってないよ?

ただ、な…坂口くんが私のハンカチ拾ってくれてさ!

それを届けに来てくれただけだよ?」

「本当に…?」

「本当だよ!

あっ!これインク!持ってきたよ!」

私はすぐに話を切り替えて、

作業をやり始めた。

周りからは「なんだ。それだけか。」

という人も居れば、

「なんか怪しくない?」という人もいた。

私は、あまり気にせず作業をした。

渚は教室に戻ってこなかった。

どこかで遊んでいるんだろうな。

そう考えては、

さっきのことを思い出してしまう。

忘れたいのに忘れられない。

もどかしさがある中、

作業が終わった。
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