屋上から、夕焼け

さわさわさわ、と教室からおしゃべりが聞こえる。
気が、重い、けれど。
そろり、と教室のドアを開ける。

「あっ」

鋭い、声が聞こえて、教室中がしん、と静まる。
ひそ、ひそ、と何か、聞こえないはずの何か、が、聞こえる。

「ねえ……」
「屋上に入ったってほんと? マジだったらやばくない……」
「テニス部の子が見たんだって、こわー」
「ていうか……」
「下見とか……?」
「やばい、本気すぎ」

こういう声って、聞こえてしまう。聞きたくなんか、ない、のに。
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