恋ふうせん
1章 出会い
久しぶりの都会。

なんだか太陽がまぶしい。

行き交う人達の洋服をこっそり観察。
自分の格好恥ずかしくないかな?

気がつけば子育てにあけくれた5年間。
都会に出る時間なんてほとんどなく、自分のおしゃれを気遣う余裕もなく。
すっかり社会に出遅れてしまった気がする。

とはいえ、それなりにママ友達や子ども達と楽しい時間を過ごしてはいたんだけどね。

「あ、ここかな?」

まぶしい太陽を右手でさけながら、目の前にそびえ立つビルを見上げた。

「T.I.C」

持ってきた案内書類を広げて会社名を確かめた。









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