恋ふうせん
「いっただきまーす!」

すっかり学生気分で、トーストにかぶりつこうとした時。

「ちょっと待った!」

智子が右手を挙げる。

「え?なになに?ちょっとー、もう少しでピザトーストが私の口の中でとろけるところだったのにー」

「あのねー、私もあんたと何年も友人やってて、あんたの変化に気づかないと思ってんの?」

「は?」

「あんた、何か悩んでない?会った時から妙に浮かれて。変やもん。」

あ。浮かれてました?私?

「何かあったんと違うの?まー、トーストかじりながらでもええけど、話してみ。聞いたげるから。」

誰かが苦しんでいるのを見て見ぬふりのできない、そんな智子は、いつも誰かの相談役だった。

私も何度智子に助けられたかしれない。
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