恋ふうせん
智子にだったら、正直に打ち明けてもいいかな。

どう言われるんだろう?

智子から言われたことは「絶対」に等しいことだから、否定されるとかなりつらいんだよね。

「あ、さすが智子だね。嘘はつけないわ。」

「ん、食べ食べ。別に急いで話すことないから。」

智子はそういいながら、パクッと大きな一口でトーストをかじった。

智子の口とトーストの間には、チーズの吊り橋が出来ている。

そんな陽気な智子を見て笑った。

「智子は、いつ会ってもいいね。元気になるわ。」

私も一口トーストをかじった。

懐かしい、少し切なくなるようなトーストの味。

「うんとね。まず一つ目は、北海道へ転勤になった。とりあえず来月頭には旦那だけ行くことになってる。」

「えー!とうとう転勤話きちゃった?わぁ、がっくし。咲も働き始めたっていうから、少し余裕も出てきただろうし、温泉旅行にでも一緒に行こうかと思ってたのにな。」

あからさまにうなだれた様子の智子。

私はそんな智子が大好き。
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