恋ふうせん
「え?そうだったの?去年、しばらく連絡とれなくて会えなかったとき?」

「うん。その時はもう彼しか見えへんくて、誰かと連絡とることすら気づかなかった。それくらい夢中やってん。でも、」

「でも?」

「彼は妻子持ちやったんよ。私も最初から知ってて好きになった。ちょっと食事するくらいやったら、問題ないやんくらいに思って、関係を続けてたけど。あかんねんなぁ。女って。もっともっとって欲張りになっていくっていうか。食事だけじゃ我慢できんくなってくる。もっと近づきたい、もっと知りたいって。気づいたら、3回目の食事で深い関係になってた。」

私はただ、だまって智子の話を聞いていた。
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