恋ふうせん
「咲には、あんな素敵な旦那さんや、かわいい隆太と航太がいるんやんか。あかん、あかん、絶対無理。出会う時期が遅い相手とは縁があるんやない。縁がなかってんて。白井さんも、きっとそのうち気づくはず。だから、深みにはまる前に終わりにしとき。ま、転勤になったんなら、それを期にでもいいから。」
あ、涙が止らなくなってきた。
バッグからハンカチを取り出して、声が出そうなのを必死にこらえた。
「うん。そうだね。わかってる。」
絞り出すように、答えた。
あ、涙が止らなくなってきた。
バッグからハンカチを取り出して、声が出そうなのを必死にこらえた。
「うん。そうだね。わかってる。」
絞り出すように、答えた。