恋ふうせん
8章 黄色いバラ
そして、月曜日がやってきた。

白井さんの提案で、以前一緒に行ったハンバーグのおいしいカフェで直接待ち合わせることになっていた。

カフェの扉を開けると、涼やかな鈴の音が店内に響き渡る。

「いらっしゃいませ。」

店員さんが爽やかな笑顔で近寄ってきた。

「お一人さまですか?」

少し店内を見渡して、白井さんがまだ来ていないのを確認すると答えた。

「あ、いえ、後で連れが来ます。」

「では、こちらのお席へ。」

思わず「連れ」なんて親しげな言い方をしてしまった。

ダメダメって心の中でつぶやきながら頭を右手でコツンとして、店員さんに案内された席に座った。
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