恋ふうせん
口に入れた野菜カレーは、少し辛かった。

あまり食欲もないお腹にゆっくりとカレーを運ぶ。

早く本題に入らなくちゃ。

また白井さんに飲み込まれてしまいそう。

「あの、白井さんは、金曜の夜大変だったっておっしゃってましたけど、大丈夫だったんですか?」

思い切って聞いてみた。

白井さんは、カレーを口にいれながら、今それを思い出したかのような顔をした。

「あ、すみません。僕の方から呼び出しておいて。」

スプーンをお皿の上において、ぺこっと頭を下げると、静かに話し出した。
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