恋ふうせん
「あの日の夜、家に帰ると部屋は真っ暗で、未知も美由紀ももう寝てしまってるのかと思って寝室をのぞきにいきました。美由紀は既に眠っていたんですが、未知はベッドの上に倒れるようにうつぶせになっていて。様子がおかしいので、未知を抱き起こすと、体がものすごく熱く、呼吸も浅くなっていたので慌ててかかりつけの医者に連絡をして、往診してもらいました。幸い、注射を打ってもらったのが効いて翌朝には熱も下がり落ち着いたんですが、精神がかなり不安定になっていたために自律神経がやられたようです。もちろん、原因は僕でした。」

「原因って、どうして?」

白井さんはゆっくり私の方に視線を向けた。

「金曜の晩、僕が誰と会っていたか、未知は知ってしまっていたんです。」

私は、思わずごくりと唾を飲み込んだ。

どうして知っているの?
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