恋ふうせん
「白井さん。本当にありがとうございます。そんな風に言ってくれるのは心からうれしい。」

白井さんは、私が突然何かを言い始めたことに、不安の色をみせた。

「私、やっぱり、こうやって白井さんと2人でお会いするのは、よくないことだと思います。未知さんに対しても、美由紀ちゃんに対しても、そして、私の家族に対しても、誰かを傷つけることは、しちゃいけないって。白井さんと私が、例え友人として付き合っていたとしても、2人で食事をしたり、会ったりすることを知って納得できる人なんて、きっといないと思うの。っていうことは、そういうことは間違っていることなんですよね。白井さんの気持ち、私の気持ちがどうであれ、もうやめましょう。2人で連絡をとりあったり、会ったりするのは。」

涙が出そうになるのを、ぎゅっと堪えながら、ゆっくり話した。
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