恋ふうせん
17時半までは少し時間がある。

私は時計の針がまだ17時を指しているのを確認すると、一人でバラ園を散策した。

バラの季節のピークは少し過ぎたのだろうか。

大きくてぼってと頭の重くなったバラたちがところどころでうなだれている。

そんな中、黄色くて小さいバラだけが、自分の新鮮さを必死に咲き誇ってアピールしていた。

黄色のバラに顔をちかずけると、甘く柔らかい香りが鼻の奥を抜けていく。

このバラ園で、30分2人で過ごして、おしまい。

いい香りに包まれて、最後の時間を過ごせるなんて、とても贅沢なことかもしれないね。
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