恋ふうせん
思ったほど人気のない公園。

子ども連れの母親が、足早にバラ園を抜けていく。

まるでバラの存在に気づいてないかのように。

私も、今までだったら絶対にバラの香りを楽しむようなゆったりとした時間を過ごすなんてことは考えられなかった。

子ども達に翻弄される毎日。

この黄色いバラのように必死に生きてた。

自分のことなんて構う間もなく、ただ、必死に。
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