恋ふうせん
白井さんと出会って、周りの景色に色が付き始めたんだよね。

子ども達以外の周囲に目がいくようになった。

それはとても幸せな時間。

子ども達と過ごす時間とはまた違う、自分が輝ける時間。

そういう意味でも、白井さんに出会えて過ごせたことは、私にとってかけがえのないものだったのかもしれない。

例えそれが一瞬の出来事だったとしても。

あ、いけない、涙が出てきた。

白井さんが来るまでにわからないようにしなくちゃ。

ハンカチでぎゅーっと目頭をおさえる。

止めようと焦れば焦るほど、涙はあふれる。

すれ違ったサラリーマンが、心配そうに私を振り返っていた。
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