恋ふうせん
それから1週間が過ぎ、私の後任も決まった。

着々と引き継ぎは行われて、私の仕事は楽になっていってるはずなのに、ずっと体がだるくて力が入らない。

魂を半分どこかに忘れてきたみたいに。

幾度となくため息をつきながら、食べ終わったお皿を洗っていると、久しぶりに旦那が早く帰ってきた。

「あら、おかえりー。今日は早いのね。」

「あ、うん。」

ん?なんだか様子が変?大体こんなに早く帰ってくるっていうのもあまりないことだし。

なんかあった?

仏頂面でカバンをソファーの上にどかっと置いて、ネクタイをはずしている。

ネクタイを受け取ろうと思って、そばにいくと、旦那がちらっと私の方に冷たい目線を投げかけた。

「な、なによ。」

あまりない攻撃に、少しひるんでしまった私。
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